寄り道で異世界来ちゃったけど、騎士様に愛されてますか?
食事を終えて、ベッドルームに案内された莉里子は、豪奢でありつつ可愛さも感じられる部屋にうっとりした。
「おやすみなさい」
莉里子は、誰にともなく告げる。
ベッドに置かれた真っ白なネグリジェは胸元に沢山のフリルがあしらわれた豪華なものだった。
着替えてふかふかの布団に寝転がると、眠気が襲ってきた。
うとうとしながら考える。
とんでもないことに巻き込まれているのに、その状況にすぐに馴染んで、楽しく暮らせているのは不思議なことだ。
もしかするとそれは、レオ様と出会えたからかもしれない。
初めてレオ様を見た時から、彼に心を奪われてはいるものの、それはスターに対するような気持ちであって、『好き』というものではない。
一方で、ランスに対する気持ちも、『可哀想』であって、恋愛感情とは程遠い。
「ま、おじいちゃんだしね」と呟く。
さっき偶然わかったことだが。
『愛する』というのは、どうやら男女の愛でなくてもいいようだ。
相手を慈しむ、憐れむ、そういった感情全てが、ランスと国を救えるものらしい。
ならば、それで行こう。
曖昧な感情のまま、やって行こう。
安心して、莉里子は眠りについた。