寄り道で異世界来ちゃったけど、騎士様に愛されてますか?

 気さくに話す拓海に頷いて、「じゃあ」と言って別れようとしたが、拓海は莉里子についてきて話しかけてくる。
「上にも、たくさんあるみたいだよ」

 階段を上がってみると、三階は誰もいなかった。
 なんとなく連れ立って歩いていたが、見たことのないカプセルトイを発見し、莉里子は立ち止まった。
「ジェニーちゃん!」

 とっくの昔に販売終了した、着せ替え人形のミニチュアだった。
 隣には、その人形の家具らしきカプセルトイもある。

「へえ、こんなのあるんだ。可愛いね」
 拓海が興味深げに言って、莉里子の背後から覗き込んだ。
 距離の近さにドキッとするが、次の瞬間、それどころではなくなった。

 突然、体が揺れたのだ。
「地震?」
「え?」
 ぐるんぐるんと目が回る。

 莉里子は、めまいに襲われたようになり、立っていられなくなった。しゃがみ込んで目を閉じる。

(そういえば、けさ頭痛がしてたんだった。この揺れは地震? それともめまい?)

 ようやく揺れが治って、莉里子は目を開けたが、今度は目の前に広がる光景に悲鳴を上げた。
「ここ、どこ!?」
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