寄り道で異世界来ちゃったけど、騎士様に愛されてますか?
「怖がらせてしまって申し訳ない。だが、あなたの身が危険だったので」
「危険? あの犬たちがですか?」
「犬といっても、あれは危険極まりない狼どもだ」
莉里子には、普通の犬にしか見えなかったが、凶暴な狼たちだったのか?
それよりも、気になるのはこの男性。
あまりにも美しすぎて、莉里子の胸はどきどきしてくる。
相変わらずめまいは続いていて、莉里子はとうとう、その場に座り込んでしまった。
「大丈夫ですか?!」
男性が叫んで、彼女の脇にひざまずいた。
「見たことのない服だが、寒そうだ」
彼は毛皮のマントを脱ぐと、莉里子に着せてくれた。
「暖かい」
呟いて、莉里子はマントの襟元を合わせる。
貧血なのか、寒いのに冷や汗が出て、気が遠くなるのを感じた。
「ところで、あなたはどこから来たのです? ここは王家の猟場だ。どうやって入られた?」
「おうけのりょうば」
男性が何を言っているのか、さっぱりわからない……。
莉里子の意識はそこで途切れた。