寄り道で異世界来ちゃったけど、騎士様に愛されてますか?
“おうけ” “りょうば”…… 当てはまる漢字といえば?
意識を取り戻し、パチと目を開けた莉里子は、手で口を覆わないと叫び声を上げそうになる。
莉里子は、煌びやかな城の前で、毛皮にくるまれて横たえられていた。その城は、写真でしか見たことのないノイシュヴァンシュタイン城とやらに似ている。
謎の猟師は跪いて、じっと莉里子を見つめている。
何が起きているかわからないが、自分は今、中世の西洋みたいな世界にいる。
「気がつかれましたか?」
微笑んで莉里子に尋ねる謎の猟師。改めて彼の顔をよく見ると、 “レオ様” に似ている気がした、本家のほうの。
“レオ様” は、彼女が今いるこの世界について教えてくれた。
ここは “ニューアーク” という国であり、魔王の呪いにより、一年の大半は冬なのだ、と。
しかも、やはり魔王の呪いで、次期国王たるランスことランスロット王子は、深刻な病に冒されているという。
「ランス殿下を救えるのは未知の国から来る聖女だけ、と “良き魔女” が仰り、召喚魔法を使ってくれました。すると、あなたが現れた」