おりの中、狂った愛を、むさぼり合う
絶望感にさいなまれる。
咲人さん、きっと私に失望した。所詮は口だけかって、そう思ったに違いない。不甲斐ない私を責めるはず――って思ったけど。
「ミミ」
「は、はい……っ」
「……」
咲人さんは怒るでもなく呆れるでもなく、かといって失望した素振りも見せず。むしろ少しだけ安堵した表情で呟いた。
「無事に手懐けているようで安心した」
「え」
「仲良くしてるなら、何よりだよ」
「っ!」
さっきまで飛鷹さんは私を慈しむように、大事なものに触れるように。私の隅々まで、優しい手つきで這ってくれたのに。二人の心が、前よりも繋がりかけたと思ったのに。
今、咲人さんの顔に浮かんでいるのは「無」。咲人さんの中に私が入る隙は、一ミリもない。
(また、離れ離れなの……?)
ショックで立っていられない。二人の関係に、再び亀裂が入った事に動揺を隠せない。
足に力が入らなくて、その場にガクリと崩れ落ちる。すると何を思ったか、咲人さんが近づいてくれた。
いや〝近づいてくれた〟とか、そんなんじゃない。現実は、もっと残酷。