おりの中、狂った愛を、むさぼり合う
「身を挺してミミちゃんを守ったんだ。さぞいい報酬が待ってんだろーなぁ?」
「……もう〝やってる〟だろ」
「は?」
温度のない声で、色のない表情で何を言うかと思えば。いや、どこを見ているかと思えば――ミミちゃんがいる部屋を見つめている。
あ~、なるほどね。
報酬って、そーゆーこと。
「愛猫をくれてやってるだろ?って。でも結局クチだけじゃん。心の底から俺にくれる気あんの?」
「……」
「だんまり~?嫌だねぇ、諦めの悪い男は」
ハハハと笑った、その時だった。
一瞬だけ視界が歪んだ……気がした。
だけど数秒後。
どうやら俺の気のせーじゃないと知る。
「え……、は?」
気づけば俺は、銃弾がめり込んだ壁に頭を押し付けられていた。両腕はキッチリ後ろに回され、妙な音で関節がうなりを上げている。
後ろには、俺の背中に右足を乗せた大鳳咲人。「コレだから未熟者は」って言わんばかりの顔だ。
「……ハハ、」
この俺を、一瞬で制圧?
なに?腕が八本でもあるわけ?