おりの中、狂った愛を、むさぼり合う


「うわ、いってぇ!自分でやるのと人がやるのとはワケが違うんだぜ⁉」


ギブギブ、と音を上げると、ヤツはゴミを捨てるように俺の手を離し、足をどかせた。プラスして「関節は自分ではめ直せるだろ」と、冷ややかな声が降って来る。あ、やっぱバレてた?


「そりゃはめ直せるけどさー、ほらよっと」


仕方なく、ゴキッと関節をはめ直す。その間も、部屋からミミちゃんの泣き声は聞こえ続けていた。

もちろん、大鳳咲人の耳にも入ったらしい。ピクリと眉を動かした後、何かを決心するかのごとく。短く息を吸う。


「次こそは、完膚なきまで俺を叩け」

「……」


完膚無きまでに……ってさ。
容赦なくやれってこと?

もっと深い場所にキスマつけて、
もっと深い段階に進めって?


『私は、咲人さんを好きでい続けます』


あの子を泣かせてまで?

< 143 / 350 >

この作品をシェア

pagetop