おりの中、狂った愛を、むさぼり合う
「仮にも〝ネコ〟を拾ったのはアンタだろ。鬼かよ」
「……」
「おーっと、なんてな。へーへー分かりましたよ。やりゃいんでしょ、やりゃ」
スッと目を細め、俺とすれ違うアイツ。その後ろ姿を見ながら、やれやれと。首を鳴らしながら壁に寄りかかった。
壁を見ると、アイツに打ち付けられたせいで、俺の形に沿って凹んでいる。どんな馬鹿力だよ、手加減しろよな。
(ほーんと。見かけによらず短気なヤツ)
暴力ふるわれた事に呆れはしたけど、怒りはしない。〝やっぱコイツヤベー奴〟って再認識したくらい。俺って心が広いからさー、少々のことじゃキレないんだわ。
といっても。
次の言葉を聞くまでは、だけど。
「……じゃ、よろしく」
「!」
風呂に入るためか、シャツの袖を降ろしたアイツ。伸ばした先にあるのは、血に染まった袖。
帰ってきた時サッと隠したのは、やっぱミミちゃんのためだったか。