おりの中、狂った愛を、むさぼり合う


「それなのに〝よろしく〟だぁ?すましてんじゃねーよ、うそっぱちが」


何でもないってツラしておきながら?
その実、内心は気が気じゃなくて?
泣き声が響く部屋をチラ見する?

何だよソレ、胸クソ悪ぃ。


「〝よろしく〟なんて言葉。
良くも悪くも、やっぱクソだ」


は~、と長い息を吐く。
同時に、いつかの記憶が蘇った。



『はじめまして、だな。
これからよろしく、飛鷹』

『俺は一週間以内に――――。
だからフォロー頼んだ、よろしく』



「……チッ」


あぁ、もう。
ほんと好き勝手じゃねーか。

しかも責めるに責められねぇ、なんて。
こんなの最高にイライラするわ。


「〝よろしくよろしく〟うるせぇよ。自分の気持ちに素直にならねぇ他力本願な身勝手ヤローめ」


その時、俺の舌打ちとミミちゃんの泣き声が重なる。どーしよーもなくムシャクシャした、

から、とりあえず。


「ふぅ。ま、こんなもんか。」


グーパンで、新たな穴を壁にあけといた。



*飛鷹 周*end


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