おりの中、狂った愛を、むさぼり合う

長い手足、好き。
ふとした流し目、好き。
細い線なのに引き締まった体、好き。


「ねぇ、ミミ」


気だるそうに私を呼ぶ声、好き。本当の名前はまほろなのに「俺のネコになったんでしょ?」って。自ら考えてくれたニックネームで、ずっと呼んでくれるの、好き。


「ちょっと来て」


私を一度も見ないまま命令するの、好き。


「俺の前に座って」


冷たい瞳で見下ろされるの、好き。
一ミリも愛情の篭ってない雰囲気、好き。


「髪ジャマ。自分で上げて」


私の一部をぞんざいに扱うのは……少し悲しいけど。でも私に触れる手つきが雰囲気とは違い、柔らかいから、好き。

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