おりの中、狂った愛を、むさぼり合う
明かされた真実


いつも私は目の前しか見えていない、って。
咲人さんといると、実感させられる――


「……はぁ」


久しぶりにマンションを出て、久しぶりに外の空気を吸う。学校禁止令がだされていたから、外に出るのは、本当に久しぶり。

太陽って、あんなにも眩しかったかな。
日光って、こんなにも暖かかったかな。
空って、こんなにも広かったかな。


(雲一つないなんて……私の心とは大違い)


一点の曇さえ寄せ付けない、眩しい太陽。あの太陽が、私の心に入って来ないかな。そして私の気持ちを晴らしてくれないかな。


「もう、涙さえ出ないよ……」


とぼとぼ歩く足取りは、かなりゆっくり。鉛のように重たくて、動かせたもんじゃない。


「咲人さんのマンションに帰れって事なら、飛ぶように早く走れるのに……」


でも、ダメだ。
もうあの家には帰れない。
ついに私は、追い出されてしまったから。

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