おりの中、狂った愛を、むさぼり合う

怖い人に目をつけられる――想像しなかった事実を突きつけられ、頭は大混乱。

どうして私が狙われるんだろう?
私、何か悪い事しちゃった?
それとも、咲人さん関係で狙われてる?

いや、咲人さんの事は関係ない。
直感だけど分かる。

さっき男は「アイツがいると厄介」と言った。もし咲人さんが関係するなら、そんな言葉は出ないはず――そこまで推測し、ホッと心が緩む。


(良かった、咲人さんに危険が及ばなくて)


もちろん、こんな男に負ける咲人さんではナイけれど。大切な人には、どんな危険だって及んでほしくない。


(一か月前は、咲人さんが私を守ってくれた。だから今度は、私が咲人さんを守る。もう迷惑かけない。今回こそ、自分でなんとかする……!)


震える手を動かし、ダメ元で、口を覆う男の手をどかす。意外にも男は、すんなり私を解放した。

刺激しないよう、慎重に話を切り出す。

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