おりの中、狂った愛を、むさぼり合う


「さすがカシラ、集めるのはイイ女ばっかりだ。あの人は活きがいいのが好きだから可愛がられるぜ、ありがたく思えよ。ほら行くぞ、カシラがお待ちだ」

「え、ちょっと待っ……!」

「チッ」


抵抗を見せた途端、場の空気が変わる。
男が苛立ったのだと、すぐに分かった。

予備動作なく男が肘を引いたかと思えば。空を切り裂き、真っすぐ伸びる。目指す先は、私のお腹。


(私を気絶させる気だ――!)


頭では分かっても、拳から免れる反射神経がない。だから男の拳がお腹に食い込む覚悟をした、

その時だった。



「お前も〝今から俺に〟可愛がられるんだぜ。
ありがてぇだろ?

ほら、さっさと逝けよ。
地獄がお待ちだ」


< 210 / 350 >

この作品をシェア

pagetop