おりの中、狂った愛を、むさぼり合う

もちろん洗ってお返しする〝つもり〟。
だけど――


(無事にアパートまで帰れるかな……)


チラリと、視界の端で横たわる男を見る。こんな大男に狙われていたなんて、今も信じられない。


「飛鷹さん……」

「んー?」


この人は知っているだろうか。

なぜ私が狙われているのかを。
カシラとやらが、誰なのかを。


「私、何かしちゃったんでしょうか?あんな人に狙われる理由が、皆目見当つきません。何が何だかワケ分からなくて怖いです。

……って聞いてますか?飛鷹さん」

「聞いてる聞いてるー」


私が喋っている間。飛鷹さんは、すばやくスマホを操作した。どうやら誰かにメールらしい。


「スマホもサスペンダーも、半日の間に買って揃えたんですか?後者にいたっては、自ら壊してましたよね?」

「そーそー。俺の家……ってゆーか、拠点があんのよ。そこに荷物があるから、取りに戻ってた」

「へぇ、同じサスペンダーを何枚も持っているんですね。飛鷹さんらしいです……ん?」


ここで生まれる、一つの疑問。

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