おりの中、狂った愛を、むさぼり合う

――ペタン、した途端。

飛鷹さんはダボダボズボンをまくり上げ、右足の太ももが露わになる。

筋肉で引き締まった太ももに、ぐるりと巻かれている太い革製品。それを「日本では違法なブツを収納するためのホルスター」だと理解するのに、時間はかからなかった。

なぜなら飛鷹さんはブツをホルスターに携帯しており、慣れた手つきで取り出したから。

そして今なお飛距離を伸ばしているGPSに狙いを定め、引き金を引いた。


結果、直撃・粉砕。


「あんな小さな物を、こんな遠くから?」と唖然とする私の横で、何事もなかったように〝ソレ〟をホルスターに戻す飛鷹さん。ズボンがダボダボの理由を、たったいま知る。


「踏んで壊しでもしたら、ココの位置記録が残っちまう。ってわけで、ちょーっと時間稼ぎさせてもらったぜ」


と言いつつも、飛鷹さんは余裕の笑みから一転。眉間にシワを寄せ、スマホの時計を確認した。

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