おりの中、狂った愛を、むさぼり合う
*大鳳 咲人*
*大鳳 咲人*
「咲人さん、大好きです!」
その一言は俺にとって救済であり、足かせであり。
まさに生と死の狭間に浮かぶ言葉だった。
𓏲𓎨𓈒𓂂◌
始まりは、こんな一言だった。
「リズ組をね、潰してほしいんだ」
ニッコリ笑う銀髪の男。男にしてはやや長い髪の毛は、いつも細いゴムで一つに結ばれている。
スッキリした顔立ちの二十代半ばの好青年、だが。言葉を交わせば「ただ若いだけではない」と、誰もが分かるくらいの貫禄を持っている。
「潰す、というのは組全体ですか?それとも、」
「カシラの紫吹だけでいい。紫吹の行き過ぎた行動に内部から不満が出ていると、潜んでいる仲間から連絡が入った。大方、紫吹が怖いから従っているだけだろうね」
「なるほど」