おりの中、狂った愛を、むさぼり合う


「お前は!」
「厄介なのに見つかっちまった!」


滝の水が落ちるかのように。サーと顔面蒼白になる男ら。そりゃ焦るだろうな。敵対組織のボスの右腕と鉢合わせしたんだから。


(ここは盛大に痛めつけときたいが……)

「……~っ」


俺の後ろで小さくなっている少女の前で、アレコレする訳にいかない。仕方ないから「ちょっと待ってて」と言い残し、違う場所へ男らと移動した。

詳しく聞きたいことがあったし、何より。
それは少女の前で出来る話ではない。


「リズ組だな?また女性を攫う気か?」

「誰が敵に口を割るかよ!」

「虚勢の張りどころを考えろ。ここはビトラの敷地で、お前ら以外は敵しかいない。証拠に、今すぐ体中に穴をあける事も可能だが?」

「……チッ!」


どうやら観念したらしい。なぜ少女を狙ったか、男たちが話し始める。

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