おりの中、狂った愛を、むさぼり合う


(一晩すごしたら、ビトラ組の配下にあるホテルにでも送ればいい。そうしたら厄介払いが出来る。一夜だけの関係で、後腐れもないしな)


答えが出た。
少女には、今夜の酒の肴になってもらう。


「親は?」

「共に元気です。遠方の高校に通ってるから一人暮らしなだけです」

「ふぅん。じゃあ飼えないわ」

「え」


俺の顔を見て、一気にしょげる少女。ころころ変わる表情が面白くて、しばらく眺めてしまった。


「今飼ってる他のネコ追い出すまでは、飼えない。だから待ってて。あ、ネコだから〝待て〟はできない?」

「で、できます!待ちます!ずっと待ってます!」

(他に女なんて、いないけどな)


俺のいう事がウソとも知らず、花が咲いた笑みを浮かべる少女――制服を着ているせいか、かなりあどけなく見える。いったい俺と何歳差なのか。


(……ん?)

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