おりの中、狂った愛を、むさぼり合う
一つ、俺に逆らわない
一つ、学校以外の用事で一人で出かけない
いかにも危ない男が言いそうなセリフに、さすがに少女もビックリするに違いない。というか脅しのつもりで言ったから、さっきみたいに震えてもらわないと困る。「帰りたい」と思ってくれなきゃ、ダメなんだ。
だけど――
「この二つを守らないと俺のネコにはなれないけど」
「絶対に守ります!約束破ったら針千本のみます!」
…………。
もう訳が分からない。
しかも俺と寝たいわけでもないらしい。てっきり体の関係を求められるかと思ったが、ただそばにいられればいいらしい。
その夜「お、おやすみなさい」と。緊張した声で挨拶した後、少女は俺の隣でなんなく寝始めた。
「……はぁ」
朝イチだ。明日の朝一番に、部下に〝お荷物〟を引き取りに来てもらう――そう決心し、少女がいるせいで半分狭くなったベッドに、疲れた体を沈める。
「スー、スー……」
「……」
思えば、誰かの寝息を聞くのはいつぶりだろう。
不思議と、うるさいと思わなかった。むしろ子守歌のように、俺の脳に徐々に染み込んでいく。
「スー……」
「……――」
なぜだか分からないが。
その夜は、久しぶりによく眠れた。