おりの中、狂った愛を、むさぼり合う


「朝ごはんは?」

「大丈夫です。私、お腹すかないので」


だが彼女がさする腹は、服の上から分かるほど凹んでいる。やせ我慢しているらしい。

「これで好きな物を買って」と財布から金を出す。しかし、いつまで経っても少女は受け取らない。


「仕送りもらっているので大丈夫です!行く途中、スーパーに寄って買います」

「……コンビニじゃないの?」

「た、高いので……」


恥ずかし気に俯く少女に、呆気にとられる。

だけど次の瞬間。
気づいたら、俺は笑っていた。


「――ぷ、バカだなぁ。だったら余計に、コレを受け取ればいいのに」

「住まわせていただくだけで充分なので、大丈夫です!だから咲人さんも無理しないでください。私のことは、空気だと思って下さいね!」

「空気?なんで?」

「だって……」


両手の指を互いに這わせて、もじもじしている少女。何を言い淀んでいるのかと思えば、こんなこと。

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