おりの中、狂った愛を、むさぼり合う
「咲人さんが無理して生活したら、すぐに限界がきて……私を、追い出すんじゃないかって」
(そんな事を思っていたのか)
昨日、少女を襲った男らを思い出した。金をちらつかせた途端、目の色を変えゴマをすり始めた男。
それに引き換え、この少女の純粋さといったら――
(自分の苦労よりも、俺と一緒にいられる方を選ぶのか)
なぜ会ったばかりの俺に、そこまで思いをよせるのか。正直まったく分からない。
分からないけど。
一つだけ、ハッキリしているのは……
俺の目に写る少女はとても綺麗だ、ということ。
それは容姿のことではなくて、もっと深い部分に存在する〝何か〟。裏に住んでいると、自ずと見失っていくものだ。
「こんな絶滅危惧種、まだ存在したのか」
「咲人さん?」
「……いや」
スマホを見れば、五分が経った。「遅れるよ」というと、少女は嬉しそうにはにかむ。