おりの中、狂った愛を、むさぼり合う
だが正直、違う名前で呼ばれ、いい気はしないはず。果たして少女が納得するかどうか――と危惧したが……
少女、ミミは強かった。
「ミミ、可愛い名前ですね!これから私の事たくさん呼んでくださいね、咲人さんッ」
「…………」
泣くか落ち込むかするかと思いきや、この笑顔。
(……ほんと、変なネコ拾っちゃったな)
だけど、俺自身も変だ。
朝一番に部下の引き取ってもらう予定だったのに、なぜか服を買い与え、冷蔵庫がパンパンになるまで食料を調達し、あまつさえ呼び名までつけてしまっている。……もしかして、飼い慣らされたのは俺の方か?
すると俺の右手に、狐の手をしたミミの左手が乗る。三本の指を動かし、口をパクパク。何やら喋らせたいようだ。
「私が飼い猫だから〝ミミ〟なんですよね?なら、にゃおーって鳴きましょうか?むしろ、やってみていいですか⁉」
「いや、それ狐だし」
「いいですか⁉」
「……遠慮させて」