おりの中、狂った愛を、むさぼり合う
「もう仕事は終わったのか?」
「バッチリー。ったくボスもひどいって。寒いのが苦手って言っただけなのに〝じゃあ南下しようか♪〟なんて!
しかも半年!あれって優しさ?それとも嫌味?おかげで、暑さには強くなりましたー(棒)」
文句を言う飛鷹。背が高く顔も整っているため、行きかう女性が飛鷹を見ては「キャー」と声を上げている。窮屈そうなサスペンダーが、魅力を底上げする妙なエッセンスになっているらしい。
「しばらく休みか?」
「バッチリもぎ取ったぜ。俺が何も言わなかったら、それをいい事に仕事仕事仕事……いい加減、ゆっくりのんびりしてーよ」
「それなら、家に来るか?」
「……」
「変な意味じゃない。その目をやめろ」
手の甲で飛鷹を叩く。青ざめた飛鷹は、口を押さえる手を放した。
「大鳳さん、アンタ、その顔で冗談とか言わねー方がいいぜ?危うく吐くとこだったわ」
「そういう意味じゃない。だが……本当に家に来てほしいと言ったら、お前はどうする?」
「あ?」
タバコをくわえ、風が当たらないよう手をかざす。以前よりも慣れた手つきに、再び時の流れを感じる。