おりの中、狂った愛を、むさぼり合う
「俺の家に女が一人いる。
面倒なことに、俺にご執心だ」
「ハッ、惚気かよ」
「……だったら、いいんだけどな」
「あ?」
飛鷹の手の内に灯る火が、静かに揺らぐ。
「俺は、もうじき死ぬ人間だ。そんな奴を好きでいても、意味はない」
「は?死ぬ?」
「だから飛鷹、女を落とせ。
俺を諦めないなら、俺以外の奴を好きになってもらうまでだ。そうすれば俺の事なんて、アッサリ忘れるだろうからな」
「ちょ、ちょっと待てよ大鳳さん!」
大きな手で、痛いほど腕を掴まれる。「放せ」と睨みをきかせると、飛鷹は罰の悪い顔を浮かべながら、ゆっくり離れた。
(それでいい)
飛鷹は小生意気なところがあるが、自分の立場を弁えている。だから、そこを利用する。
きっと飛鷹は、俺の命令に逆らわない。