おりの中、狂った愛を、むさぼり合う

ミミが寝ているため、静かに物置部屋に移動してもらう。エアコンのない蒸し暑い部屋で過ごすのだと知った飛鷹は「南で修行した甲斐あったわ」と嫌味たっぷりに笑った。


「このボタンを押すと、壁からエアコンが出てくる。普段は収納してあるから、」

「大鳳さん」

「なんだ」

「本当に、いいんだな?」

「……」


そんなの、決まってる。
と思っていたのに。
心のどこかでは、僅かな迷いがあったらしい。

飛鷹のよどみない真剣な目を見て。
今やっと【М】とは違う、別の腹が括れた。


「一週間後に俺は死ぬ。
それまでに――ミミを頼む」

「……あいよ」



そして、俺と飛鷹の秘密の計画が始動した。



「ソイツ裏切りものでさ、死ぬんだよね。
けど事情があって一週間殺せない。
だからそれまでの間、慰めてやってよ」

「……へ?」

(悪いな、ミミ)


こんな計画を聞いたら怒るだろうな。

でもミミには笑っていて欲しいって。俺のことなんかで悲しんでほしくないって――不思議と、そう思う。

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