おりの中、狂った愛を、むさぼり合う
飛鷹は「放っておけばいいのに」とも言った。
確かにその通りだ。
でも、どうやらダメらしい。
俺を忘れ、紫吹が消える。そんな平和な世界で、笑いながら過ごしてくれたら――太陽の下を、堂々と歩くミミを想像する。眠い目をこすりながら学校へ行ったり、スーパーで〝どっちが安いか〟と二つの商品を見比べたり。
(そんな日常を想像するだけで満足するのは、きっと〝俺が望む世界だから〟だろう)
だからダメなんだ。放っておけない。
悪いが、自分の欲求には忠実なんだ。
俺は、俺の望む世界を実現する。
雪光さんが、どういう理由でコード名を【М】にしたか分からない。
だけど俺にとっての【М】は、
ミミであり、まほろだ。
(二つ目にして最後の贈り物なんて、一人の男として情けない限りだが)
だけど俺なら叶えてあげられる。
優しい世界を作ってあげられる。
【М】を完遂すること。
それこそが迷い猫への、
最後にして最大のプレゼントだ。
*大鳳 咲人* end