おりの中、狂った愛を、むさぼり合う
「それにしても、寡黙な優しさにこそ人は気づくものだね」
「寡黙な、優しさ?」
初めて聞く言葉だ。
「君を守るため、咲人は冷たい態度を取り続けた。だけどいくら冷たくされても、君は咲人を嫌わなかった。それは咲人の秘めた優しさに、君自身が気づいていたからだよ。
人はね、本能で分かるんだ。
好意を向けてくれる男を、本能は無下に退けたりしないのさ」
「本能、好意……」
ん?
好意?
(咲人さんが私を守ってくれたのって、それって……私に好意を抱いてるからなの⁉)
思わぬ事実に、座ったままピョンと跳ねた。そんな私を見て、雪光さんは「若いっていいね」とほほ笑む。