おりの中、狂った愛を、むさぼり合う


「ミミちゃんの本気を見せられたらさ、そりゃ誰だって揺らぐよ。だってネコの名前つけられて喜ぶんだぜ?」

「それ私、褒められてますか?」

「あったり前だろ。あーあ、俺も誰かに揺らがされてーなぁ」


飛鷹さんが頭の後ろで両手を組んだ時。平和が訪れたこの場に、物々しい雰囲気が漂う。


「大鳳咲人だな?手を上げろ、警察だ」

「え?」
「やべ」
「……はぁ」


私たちの周りを、ぐるりと囲む警官たち。

紫吹が去って、どうやら気が抜けていたらしい。咲人さんも飛鷹さんも「包囲されてたのか」と、今さら脅威に気付く。


「大人しく人質を解放しろ」

「人質って、もしかして私⁉」


咲人さんが「だろうね」と頷く。
ありもしない事実に、頭は真っ白。


「道端で女の子が攫われたと通報があった。お前たちが犯人だな?」

「……えー…………」


落胆した飛鷹さん。顔に「面倒くさい」と書いてある。

私から事情を説明しないと場がおさまりそうにないため、手を挙げて主張する。

< 281 / 350 >

この作品をシェア

pagetop