おりの中、狂った愛を、むさぼり合う
「咲人、命令違反だね」
「……申し訳ありませんでした」
「いいよ。元より、お前に死んでもらおうと思って【М】を発令したわけじゃない。そこを汲み取ってもらえなかったのは残念な限りだが……それよりも。
任務失敗の罰は、公平に与えなければね」
「はい」
スッと目を伏せる咲人さん。キレイすぎる横顔に、思わず全身が震えた。
興奮したからではない。その青白い顔で目を伏せられると、どうしても「生きていない咲人さん」を連想してしまう。
「さ、咲人さんを殺すなら、私も一緒です……!」
「ミミ、黙って」
「本当にいいの?」
「ボス!」
私……人質の一言で、警官が構える切っ先が、一斉に雪光さんに向かう。どうやら人質の安全が最優先らしい。
一方で、いつの間に取り出したか分からない物騒な物を両手に持ち、雪光さんより前に出て構える飛鷹さん。
飛鷹さん、警察、咲人さん&人質。そんな三角関係を見て、雪光さんはくすりとほほ笑む。
「冗談だよ。命の取り合いなんて考えていない。ただ、甘いことを言うつもりもない。
ここにいる全員に伝えよう。
大鳳咲人は、もうビトラ組には不要の者だ」