おりの中、狂った愛を、むさぼり合う


「尤も、〝ビトラ組を潰すことより、日本の利益を優先する方を選んだ〟君たちの上司は、撤退されちゃ阿鼻叫喚だろうがね。

警察が星井グループを見て見ぬふりしてくれるおかげで、ウチの成績は順調に伸びているよ。日本の価値さえも底上げしている。

つまり、お互いウィンウィンの関係だ。でも切り札は、常にコチラ側にある事を忘れるな」

(裏社会が経営している会社なのに、どうして潰れないんだろうって思ってたけど……星井グループが〝日本に必要な企業〟だからだ。絶賛不景気・日本の〝頼みの綱〟ってこと?)


フムフム頷いていると、横から感じる痛い視線。
見ると、咲人さんがジト目で私を見ている。


「ミミ。勘の良さで、また一つ余計な知識を増やしたね」

「余計とはなんですか!これからもずっと咲人さんといるんだから、知っておくべき情報です!」

「どうして一緒にいられると思うの?俺はこれから警察に捕まるんだよ?」

「え」


咄嗟に雪光さんを見る。ここは諸悪の根源に何とかしてもらわねば、困る。

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