おりの中、狂った愛を、むさぼり合う
「咲人さん、一つ聞いてもいいですか?」
「……うん」
「咲人さんにとって、雪光さんはどんな存在ですか?」
「あの人は、家族みたいなもの」
最初の返事には戸惑ったのに、「家族」と答える時は一切の迷いがなかった。そういうのって、なんか素敵だ。
「それに飛鷹も。と言っても、アイツは俺のことを何て思ってるか分からないけど」
「ふふ。反抗期の子供みたいですもんね、飛鷹さん」
「うん。無茶なお願いをしたから、いつか借りを返さないとね」
「……」
私たちが見つめる先で「じゃあね」と。数多の警官を畏怖の念で制した後、雪光さんは颯爽と去って行く。
その後を追う飛鷹さんは一度も私たちを見なかったけど。「じゃーな」って言うみたいに、ヒラヒラ手をふった。