おりの中、狂った愛を、むさぼり合う


「でも咲人さん、大丈夫ですよ。私が妻になり家族になった暁には、お腹いっぱい〝家族〟を満喫しましょうね!」

「……」

「咲人さん?」


私を見て、数秒固まった咲人さん。浅いため息をついたと思えば、眩しい太陽をわざわざ見上げた。


「たぶん、そういう所なんだよ。
俺がミミを、最期の最後まで手放せなかったのは」

「え、なんですか?聞こえなかったです」

「……んーん。
〝温かいね〟って言っただけ」

「?」


するといたずらをした子供みたいに、咲人さんは意地悪く口角を上げる。


「そもそも、結婚するって言ってないよ」

「えぇ⁉」


これぞ「爆弾発言返し」。

咲人さんからの攻撃は一撃必殺・ノックアウトレベルだから、何が何でも避けなければ!

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