おりの中、狂った愛を、むさぼり合う


「~っ!」


涙が、止まらなくて。
やっぱり夢じゃないかと錯覚して。

だけど腰が抜けて尻もちをついたら、きちんと痛くて。今が現実なんだって理解した。


「ミミ?」

「ご、ごめんなさい……っ」

「え……」

「すみませ、あの……わぁ。涙が、止まらなくてっ」


素直に言うと、栗毛の前髪から覗く瞳が、わずかに緩む。安心した目つきだ。


(もしかして私が言った「ごめんなさい」を、フラれたって解釈しちゃってた?そうじゃないと分かって、安心したのかな?

……。
ん⁉)


私にフラれたと勘違いした咲人さんが、落ち込む――⁉


非常事態&緊急事態。そんな天にも昇ることがあっていいのかと、両手でワッと顔を覆う。

咲人さんからの「デレの供給」が多すぎて、キャパオーバーだ。想像が過ぎる。


「ミミ、大丈夫……?」

「す、すみません。私、もう苦しいです……っ」


幸せ過ぎて、心臓がへしゃげている。でもへしゃげた心臓も幸せだ。だって咲人さんからの愛に押しつぶされるなんて、願ったり叶ったりだもん。

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