おりの中、狂った愛を、むさぼり合う

小野寺さんの不機嫌なため息とともに、私と咲人さんは別々のパトカーで移動する。

その車中で……


「君、リズ組の紫吹と会ったの?怖かったでしょ?」

「いえ。怒った咲人さんの方が一億倍怖いので、なんともなかったです!」

(あの紫吹より怖いのかよ⁉
大鳳咲人、恐ろしすぎる……!!)


こんな会話があったとは知らない咲人さん――警察署についてから警官たちが妙にへりくだってきたものだから、素直に「気持ち悪い」と言ってしまった。

その報告を受け、口の減らない咲人さんと情けない部下の両方に、小野寺さんが激怒したと。

翌日の署内は、その話題で持ち切りになった。


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