おりの中、狂った愛を、むさぼり合う
「僕って元々リズ組だったんだよ。でも紫吹がアレで嫌気がさしてさ、逃げてきたんだ。
だから組の名前も対(つい)になってるだろう?リズ(龍頭)とビトラ(尾虎)って。僕が紫吹に対抗して作ったからさ」
「うわぁほんとだ〜、って。そうはなるかよ」
何やってんだよ、ボス。
「僕を捕まえ損なったのは紫吹史上最大の汚点だろうから、公にしたくないはずだ。だから咲人から話をもちかけられた時、紫吹は部下を下げた。
リズ組の宝ってほどでもないけど、そこそこの情報を僕は盗んでるからね。ピンチの時は上手く使うさ」
これぞ悪、って顔だ。
さすが組をまとめるボスだけある。
かと思えば、コロリと表情を変えた。
「というわけで、僕は常に紫吹に命を狙われている。ボディーガードよろしくね。頼りにしてるよ」
「は~、自分で火をつけて回ってるだけじゃねーか。とんでもねぇボスだな」
苦言を呈しながらも笑みを浮かべる俺を見て、ボスが尋ねる。