おりの中、狂った愛を、むさぼり合う


「ご機嫌だね、どこ行くの?」

「やってらんねーから、クラッカー鳴らしに行くんだよ」

「クラッカー?」

「そ。約束したんだ」



『ミミちゃん、おめっとー。
後でクラッカー鳴らしてやるよ』



あんなの、その場限りの言葉だったけど。
今日は一日オフって言われたし、羽を伸ばすか。

腕を天井に突き出して、盛大に伸びをする。するとパソコンとパソコンの間から、ボスと目が合った。顔に浮かんでいるのは、怪しい含み笑い。


「……なんだよ、その顔」

「存外、周も諦めの悪い男だと思ってね。
ミミちゃんに失恋したんだろう?」

「はあ?」


なわけねーだろ。失恋したのに祝いにいくバカ男が、どこにいるんだっての。

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