おりの中、狂った愛を、むさぼり合う


「まほろさんを紫吹に攫われたとあっては、警察の名折れです。そのため、何が何でもまほろさんを守る必要があります。

とはいえ、紫吹に対抗するには大鳳しか適役がいない……なので、仕方なく一緒に住んでもらいます。二人にウロチョロされても監視が追い付かないので」

「つまり檻の中に入れとけば逃げないし、監視もしやすいと……?」

「一石二鳥でしょう?大鳳には〝あなたに指一本触れるな〟と言い聞かせています。破ったらどうなるか、分からない頭ではないでしょうし」

「……」


小野寺さんに見られて、咲人さんは眉間にシワを寄せる。だけど私と目が合った途端、柔らかい笑みに変わった。


(ひぃ!カッコよすぎる……!)


整った顔から発射されるスマイルは、見事に私を貫通。

破壊力のすさまじさに、壁にはられた紙が落ちる動きで、上半身がヘナヘナ机上に乗る。


「まほろさん、大丈夫ですか?」

「ここが天国だということは分かりました。
……でも、一つだけいいですか」

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