おりの中、狂った愛を、むさぼり合う


咲人さんと再び一緒に暮らし始めて、一週間が経った。

控えめに言うと「とんでもない幸せ」の連続で、心は常にサンバを踊り続けている。毎日「幸せすぎて怖いな」って、何度か口にするくらい。

どれくらい幸せかというと――

「とんでもない幸せ」は、朝、起きた瞬間から始まるのだ。


「……んぅ」


セットしたアラームよりも、少し早くに目が覚める。現在、六時。あと三十分したら、お気に入りの曲が、枕元に置いたスマホから流れる。

だけど私には、曲よりもお気に入りのものがある。
それは――


(ひゃー、今日も寝顔を見れちゃった!
咲人さんの寝顔!天使……!)


陶器のようなキレイな肌に、どこぞのイケメンマネキンのように、キレイに並んだパーツ。切れ長の瞳、薄い唇、筋の通った高い鼻。

マネキンを越えたこの人は、お付き合いしている大鳳咲人さん。彼氏兼ボディーガード。

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