おりの中、狂った愛を、むさぼり合う


(まつ毛、長いんだ。お上品に口を閉じて寝てる。私なんて、ほぼ開きっぱだよ……)


どれほど前世で徳を積めば、こんな素敵な人と両想いになれたんだろう。私の前世、本当にありがとうございます。


(ん?)


ふと、頭の下に何かの感触。左へ視線を移すと、伸びているのは咲人さんの腕。寝ている間、ずっと腕枕してくれたんだ。


(いや、もう……尊すぎる……!)


こんな素敵な人に腕枕されて目覚める朝。
そんな幸福が、この世に存在していいの?

起きて数分で「とんでもない幸せ」の連続に、「幸せ過ぎて怖い」と呟く。


朝一番に日光を浴びると幸せホルモンが出るって話があるけど、私の場合、日光よりも咲人さんの方が効果がある。溢れるくらいの幸せホルモンは、例え太陽だって生み出せまい。


「……ん……おはよう。まほろ」

「お、おはようございます、咲人さん」


太陽よりもスゴイお方の起床。
こんな瞬間に立ち会えるなんて、神秘的だ。

< 317 / 350 >

この作品をシェア

pagetop