おりの中、狂った愛を、むさぼり合う


「よく眠れた?」

「バッチリです。咲人さんは眠れましたか?」

「……うん、まぁまぁかな」

「シングルに二人はキツイんじゃないですか?私は咲人さんにしっかり疲れをとってほしいので、やっぱり別々に寝ましょうよ」


離れ離れで寝るのは寂しいけど、仕方ない。だって大人の人は、疲れをため込むって聞いたことがあるから。咲人さんには元気でいてほしいもん。無理してほしくない。


(だから疲れはため込んではならぬ!
一日たりとも!)


意を決した私から、咲人さんが目を離した。そして、しばらくの間、天井を見つめる。

キレイな横顔に見とれていると、薄い唇から漏れたのは、深いため息。


「どこのお口が、そんな意地悪いうのかな」

「むがぁっ」


お鼻をつままれ、あやうく豚さん声が出そうになる。「何するんですかぁ」と咲人さんに背を向けると、後ろからピッタリ、隙間なく抱き着かれた。


「俺が寝られないのは、隣にまほろがいるからだよ」

「や、やっぱり狭いって事じゃないですか」

「そうじゃなくて」


私の首筋に、ぽふんと。咲人さんが顔を埋める。

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