おりの中、狂った愛を、むさぼり合う

登校している時は、何も問題なかった。

登校中、隣を歩く咲人さんに見惚れて、何度か電柱にぶつかりそうにはなったけど、その度に咲人さんがかばってくれた。

「朝から暑いね」って何気ない会話をする中でも、咲人さんが周りを見る視線は、まるで鷹が獲物を狙っているかのようで。一瞬の隙もなく警戒してくれてるんだって、すごく伝わった。

だけど、さすが咲人さん。
そんな自分を、私に怖がらせないようにするためか、


「今日の放課後は、あそこの店に寄ってみる?ミミが好きそうなアイス屋さん」


なんて、デートの話をふってくれた。


「い、行く、行くます!」

「ふはっ。ミミ、噛みすぎ」

(私なんかより、咲人さんの方が〝神すぎ〟です……!)


目の前に広がるのは、愛しい人のくしゃくしゃな笑顔。しかも口角を上げて「了解」って、頭を撫でててくれた。

手のひらが触れた瞬間、咲人さんの冷たい温度に安心する。咲人さんといると、何も怖くなくなるから不思議。


(配慮、気遣い。全てがスマート。
大人の魅力≪咲人さんver≫恐るべし)

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