おりの中、狂った愛を、むさぼり合う

――そんな感じで。
登校中は何も問題なかった。


「幸せすぎて怖い」って呪文のように連発した私を除いては、極めていつも通り。

学校に着いたら「また放課後」って咲人さんは手を振ってくれたし、お昼休みにも「変わったことない?」ってメールをくれるし(小野寺さんが咲人さんに渡した業務用スマホ)。

だけど暗雲が立ち込めたのは、放課後。
校門で私を待つ咲人さんに、手を振った時。


「咲人さん~ただいまです」
「あなたが大鳳咲人さん?ちょっといい?」


私と声が被ったのは、学校で厳しいと有名な女の先生。校則を守らない人には容赦ない、美人な先生だ。


「俺が、何か?」

「学校から話があるのよ。あなたが校門にいることで、女子の風紀がかなり乱れていてね。細かい打ち合わせをしましょうって話」

「後ほどお電話を、」

「あら?警察からは〝柔軟に対応させていただきます〟という話だったけど、違うのかしら?」

「……」

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