おりの中、狂った愛を、むさぼり合う

咲人さんが私に敬語を使ってる!って嬉しさが半分。まるで子供に言い聞かせるような言い方に、しょぼんが半分。

肩を落とす私を見て、先生が「ふっ」って笑ったようにも見えたし……たぶん見間違いだよね、うん。きっとそうだ。


(でも、凹んじゃったな……)


はぁ~。
出るのは、大きなため息。ネガティブモードにガッツリ入ったのか、秒で心がすさんで行く。

咲人さんと先生は事務室に行くらしい。はるか遠くに、絵になる男女の後ろ姿が見えた。……やっぱり、よく似合ってる。


「どうしたら、大人っぽくなるのかな……」

「そんなの簡単だ。俺の店で働けばいい。数日もあれば、立派な大人の女になれるぞ」

「なるほど、お店で…………って。え?」


校門に隠れ、立っていた人物。
リズ組のボス・紫吹。

紫のメッシュが入った短髪と、黒のサングラス、煙がもくもく昇るタバコ――全国きっての要注意人物。


そんな人が、なぜ、ここに――⁉

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