おりの中、狂った愛を、むさぼり合う


「なんで食べないんだ。アイスが好きだからアイス屋に来たんだろう?」

(あなたが怖くて喉を通りません!なんて、言えない……!)


場所を変えようとは言ったものの悩んだ私は、咲人さんとデートする予定だったアイス屋さんに来た。何種類もあるアイスから二種類選び、イートインでお食事中。


(は、早くきて、咲人さん……!)


紫吹がサングラス越しにアイスを選んでいる間、こっそりスマホを操作した。「アイス屋さんきて」と咲人さんに送信……というか、時間がなくて、それ以上の文字が打てなかった。

でも咲人さんなら、「朝二人で話したアイス屋さんだろう」って気づいてくれるはず。

やる事はやった!
後は、なんとか時間を稼ぐだけ!

なーんて思っていたら。


「ミミ、口あけろ」

「え」

「買ってやったのに食べないつもりか?溶けるだろう」

「えぇ……!」


目の前には、ファンシーなハート型のスプーンに、山盛り乗ったアイス。そのスプーンを、紫吹が、私に向けている。

え、もしかして本当に……。
「あーん」するつもりなの⁉

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