おりの中、狂った愛を、むさぼり合う

飛鷹さんの言葉に、紫吹は顔色一つ変えなかった。というか、瞬きさえしていない。

飛鷹さんの脅しは効果がなかった、と言ってもいい。敵の巣窟に来ているのに、この自信満々な態度。それだけで紫吹の強さがうかがえる。


「それ相応の危うさを知ってココにいる。変な事はしない。そもそも、俺はミミとアイスを食べに来ただけだ」

「ハッ、そんな口八丁が信じられると、」

「じゃあお前は、ミミが落ち込んでいても気にしないのか?暗い顔してても無視するのか、薄情な奴だ」

「……は?」


紫吹に敵意ナシと判断した飛鷹さんは、私と紫吹の間にある椅子に座る。隣と言っても、丸テーブルだから若干の距離があるけど。


「落ち込む?暗い顔?
なんでー?
アンタ今、ちょー幸せなはずだろ?」

「そ、その通りです……よ?」


チラリと紫吹を見る。
すると「ウソ言うな」と言わんばかりに、鼻で笑われた。


「恨めしそうに女教師の背中を見ていたミミが〝幸せ〟?トイレに行け、鏡を見てこい」

「な、そ、そこまで言わなくても!」

「そしてアイスを食べろ。勿体ないことする奴は、いくら自分の頭が吹き飛ぼうが、問答無用で攫うからな」

(ひぃ!)

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