おりの中、狂った愛を、むさぼり合う


「私、いつか咲人さんの愛に押しつぶされる気がします」

「ミミなら〝本望〟って言いそうだけどね」

「……」

「……」

「……本望です」


私の言葉に、また咲人さんが笑ってくれた。

そんな二人の、アイス屋さんデート――――


なんて。
万事解決、まぁるく終わるわけがなく。


現在、夜の七時。
デートが終わり、マンションに到着した私たち。マンションの玄関扉を開け、二人一緒に中に入る。

先にご飯にするか、お風呂にするか――後ろにいる咲人さんに尋ねようとした、その時だった。


「ミミ」

「え、んぅっ!」


私が口を開く前に、唇をふさがれた。

目に写るのは、冷たい眼差しの咲人さん。


「店の中で飛鷹が言っていたのは、本当?」

(ひぇ……!)



その時、私は思い出した。
咲人さんは、演技が上手いことを。

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