おりの中、狂った愛を、むさぼり合う
「飛鷹とキスした時、目は閉じた?」
「え」
「この中にまで入ったってこと?」
「っ!」
トンと、指で唇をノックされる。概ねその通りだけど、そんな事、氷点下中の咲人さんに言えるわけもなく。かと言って、ウソをつくことも憚られ、苦渋の決断で「忘れました」とホラを吹く。
しかし、そこまでの思考を見抜いた上で、咲人さんの攻撃はやまない。
「今から五分」
「何が、ですか?」
「ミミにキスし続ける」
「なんで、ですか……?」
咲人さんが、フッと笑う。まるで私をあざ笑う、不敵な笑み。
「上書き、って言葉は知ってる?
じゃ――始めるよ」
「んっ!」
そこから先は、どうしようもないくらいキスの雨が降って来て。どうしようもないくらい、息苦しくなった。
「や、も、もう……っ」
「まだ。あと三分」
「ん――っ!」