おりの中、狂った愛を、むさぼり合う
頭がぼんやりして、のぼせて、クラクラしてきて。肩で息をするくらい酸欠になったけど、それでも咲人さんはキスをやめなかった。口の中に入ったまま、隅々まで――まるで私を叱るように、咲人さんはキスをし続けた。
しまいには抵抗していた私も、何も考えられなくなって……ううん。気持ちよくなることしか考えられなくて、咲人さんの唇を貪り始める。
「咲人さん、もっと……」
「……うん」
「咲人さん?」
五分経ったのか、それとも何か違和感があったのか。咲人さんは、唇を離す。そして聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で、
「それ、飛鷹には言ってないよね……」
「飛鷹さんに?」
「〝もっと〟……とか」
ごにょごにょ、と。咲人さんが気まずそうに言うものだから、思わず吹き出した。
「言うわけないじゃないですか。私がキスしてほしいのは、咲人さんだけです」
「……うん」
「まだ何か不安ですか?」
すっかり下がってしまった頭を、座って覗き込む。珍しく弱った顔が、目に入った。
「……ごめんね、ミミ」
「え?」