おりの中、狂った愛を、むさぼり合う

お互い座り込み、向かい合って膝を合わせる。咲人さんの体育座りポーズ……なんて貴重なワンシーン。

手を合わせて拝みかけた私の前で、またもや「ごめん」の声。


「飛鷹とミミが関係を持ったのは、全部俺のせいなのに……ヤキモチやいた。自分で仕向けたことなのに。怒る権利があるのは、ミミの方なのに」

(しょんぼりモード……?)


眉が下がっている。どうやら本当に落ち込んでいるらしい。


再び一緒に暮らし始めた時――飛鷹さんがした昔話を、改めて、咲人さんの口から全て聞いた。

それに関して、何度も何度も謝ってくれた。「ごめん」って、今にも消えそうな声で謝るものだから、見ていて胸がしめつけられた。

理不尽な命令を出されて、咲人さんは自分を追い詰めた。でも、その中でも私の幸せを一番に考えてくれた――それだけで、もう私は許している。そもそも怒っていない。……いや、咲人さんが自分の命を軽んじたあたりは、かなり怒ったけど。


「私と飛鷹さんが関係を持ったって……でも、キスだけですよ?」

「でも〝果てた〟って飛鷹が、」

「ん゛ん゛……!」

< 342 / 350 >

この作品をシェア

pagetop