おりの中、狂った愛を、むさぼり合う

「てっきり、私が子供だから見向きもされていないのかと思っていました……。放課後も、先生とお似合いだったし」

「放課後?お似合い?」

「あ」


スルリ、と。枝豆が皮を突き破るより、勢いよく言葉が出てしまった。

ヤキモチ妬いた、なんて。
それこそ子供っぽいから、言いたくなかったのに。


「わ~今日は星がキレイですね」

「そんなもので俺を誤魔化せると思ったの?」

「……いいえ」


思っていませんでした。

〝あわよくば〟の頼みの綱なんて、最初から切れている。だって咲人さんの顔に、生気が戻っているから。

さっきまで「しょんぼり君」だったのに、急に「とんでも元気君」になってるんだもん。

この状態の咲人さんに何を言っても無駄な事は、私が一番よく知っている。


「ねぇミミ、嬉しいからもう一度言ってよ。ヤキモチ妬いたの?」

「~っ。やき、まし……た」

「俺をとられるかもって、焦った?」

「あせり、まし……た」

「ふふ。よく言えました」

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